アマゴ超雄(YY)の継代について


[要約]
 アマゴ精子を用いて雄性発生2倍体を作出すると、雌(XX)と雄(YY,超雄)が作出される。超雄は全雄生産への利用が期待される。そこで超雄の継代法として、一部をホルモン処理によって雌とし、この雌と交配することによって次世代が作出することができた。
養殖研究所・遺伝育種部・細胞工学研究室
[連絡先]  0596−58−6411
[推進会議]  水産養殖
[専門]  水産育種
[対象]  アマゴ
[分類]  研究

[背景・ねらい]
 魚類養殖にとって、魚を短期間に大きくして出荷できるかは経営基盤にも関わる重要事項の一つである。アマゴは通常成熟に2年かかるが、1年で成熟するものも出現する。これらの個体は2年で成熟するものよりも成長がよい。また1年で成熟するものの大部分は雄である。したがって雄を効率よく生産することが経営の効率化につながる。そこで超雄(YY)と通常の雌を交配して全雄生産をし、早期養成型種苗として実用化が図られている。ところが、超雄の継代は毎回雄性発生を繰り返すしかなく、非常に煩雑である。そこで超雄の一部をホルモン処理によって性転換して雌とし、その雌と交配することによって超雄の継代を行う方法を検討した。

[成果の内容・特徴]

  1. 性転換YY雌、YY雄、通常雌および通常雄の4尾を一組とし、性転換YY雌×YY雄、性転換YY雌×通常雄、通常雌×YY雄および通常雌×通常雄の4通りの交配を行った。個体を変えて、このような組み合わせの交配を9回行った。
  2. YY個体を性転換して雌にしても外見上は通常雌と何ら変わりなかった。また体重、卵数にしても通常雌に劣ることはなかった。
  3. 性転換YY雌×YY雄の交配で生存率を調べた結果、0から63%を示した。0%を示したグループではYY雄の精子は問題がなかったものの、性転換雌の卵に問題があることが示唆された。

[成果の活用面・留意点]

  1. 超雄を性転換して偽雌としても卵を作ることが明らかになった。  
  2. この卵と超雄精子と受精させても発生が進むことが確かめられた。  
  3. 性転換YY雌とYY雄の交配の組み合わせで、できた稚魚の生存率が悪いのは卵に問題があることが示唆された。  
  4. 通常雌と超雄の交配では何ら問題はなく、全雄生産ができる可能性が示唆された。
[具体的データ]  
表1.性転換YY雌×YY雄、性転換YY雌×通常雄、通常雌×YY雄および通常雌×通常雄の組み合わせにおけるふ化時の生存率  
 通常雌、雄の間の受精で実験3と4で低いものの後はすべてよい結果を示したことから用いた通常雌、雄の卵、精子に問題はない。  
 通常雌とYY雄の間においても実験3と4以外はいずれも90%以上を示し、YY雄の精子に問題ないことがわかる。  
 ところが、性転換YY雌と通常雄の間で0に近いものと50から70%のものが認められる。低い値の実験区ではYY雄の精子と受精させたところも低い。よって性転換YY雌から取った卵に問題があったことがわかる。

[その他]
研究課題名:染色体操作および交雑育種を用いたサケ・マス類の品種改良法の検討
予算区分 :通常
研究期間 :平成9年〜13年度
研究担当者:名古屋博之
発表論文等:

目次へ戻る