海産重要魚種の必須アミノ酸要求量


[要約]
 マダイ及びヒラメ幼魚の飼料中リジン要求量を飼育試験にて求めたところ、それぞれ飼料タンパク質中の4.4%及び4.6%であった。このデータをもとにして全魚体必須アミノ酸組成より残り11種の必須アミノ酸要求量を推定した
養殖研究所・栄養代謝部・飼料研究室
[連絡先]  05996−6−1830
[推進会議]  水産養殖
[専門]  魚類栄養
[対象]  魚類
[分類]  研究

[背景・ねらい]
 海面魚類養殖においては、マイワシ漁獲量の急減により、従来の生餌給餌から配合飼料への転換が迫られている。また、世界の魚類給餌養殖の現状からみても、環境保全のため生餌に比べて環境への窒素及びリンの負荷が小さい配合飼料の使用が望ましい。業界自体が生餌に強く依存していたこともあって、海産漁用配合飼料の開発は大きく遅れ、栄養素要求に関する基礎飼料も不備であった。本研究はマダイ及びヒラメを用いて、栄養素のうち最も重要であるタンパク質の構成部分である必須アミノ酸の要求量を求め、配合飼料を作製する上での基礎資料を業界に示すことを目的として行った。12種類の全必須アミノ酸要求量を決定するには多大な時間と労力を要するため、まず、リジンの要求量を飼育試験により決定し、残りのアミノ酸要求量は全魚体必須アミノ酸組成から推定した。

[成果の内容・特徴]

  1. アミノ酸分析によりマダイ及びヒラメの全魚体必須アミノ酸組成を明らかにし、必須アミノ酸比(A/E ratio)(表1及び表2)を求めた。
  2. リジン含量の異なる試験飼料を作製し、これを給餌して一定期間の飼育試験を行った。
  3. 飼育期間中の魚体の窒素保留率より求めたリジン要求量は、マダイ及びヒラメにおいて飼料タンパク質あたりそれぞれ4.4%及び4.6%であった(表1及び表2)。
  4. リジン要求量をもとにして魚体の必須アミノ酸比より、残り11種の必須アミノ酸要求量を推定した(表1及び表2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 最終的には飼育試験により全必須アミノ酸要求量を決定するのが好ましいが、飼料タンパク質の栄養価評価する指標として、故新井(1981)により導入された必須アミノ酸比の概念は、必須アミノ酸要求量を推定する簡便法として教科書に紹介されるなど世界的に評価されており、信頼性の高い数値が得られる。本研究によってマダイ及びヒラメのリジンをはじめとした必須アミノ酸要求量が具体的な数値として示されたことにより、栄養価の高い配合飼料組成を設計することが可能である。

[具体的データ]

表1

表2


[その他]
研究課題名:ヒラメ等の必須アミノ酸要求量
予算区分:経常 STAフェローシップ(科技庁)
研究期間:平成8年度(平成7〜8年度)
研究担当者:イアン・フォスター(日本養殖振興会)、尾形 博
発表論文など:Lysine requirement of Japanese flounder and red sea bream.
              Aquaculture(印刷中)

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