クルマエビ急性ウイルス血症(PAV)の原因ウイルスの解明と分離精製法の開発


[要約]
 PAVの原因がウイルスであることを明らかにし、病エビ血液からのウイルス精製法を開発した。また、本ウイルスがICTVの分類表第6版で未分類種とされたOryctes rhinoceros Virusに近縁の、新種ウイルスであることを明らかにした.
養殖研究所・病理部・病理研究室
[連絡先]  059658-6411
[推進会議] 水産養殖研究推進全国会議
[専門]     病理
[対象]     くるまえび
[分類]     研究

[背景・ねらい]
 1993年の春に、西日本のクルマエビ養殖場で新しい疾病が発生し(図1)、生産量が前年のおよそ22%に落ち込む大きな被害を引き起こした。以来、本症は毎年発生を繰り返し、その被害の大きさから防除法の確立が急がれている。そこで、病原体を究明し、分離・精製法を開発するとともに、ウイルスのゲノム核酸を解析して分類学的位置を明らかにし、本症の診断や予防等、防除法の確立に資する。

[成果の内容・特徴]

  1. 病エビの電顕病理学的研究により、原因は桿状のヌクレオカプシドとエンベローブから構成される、長楕円形を呈するウイルスであることを明らかにした(図2)。
  2. 病理組織学的研究により、病エビの血リンパ中に多数のウイルスの存在を認め、血リンパからのショ糖密度勾配法による、ウイルスの効率的な分離・精製法を開発した。分離精製したウイルスのゲノム核酸は、分節のない2本鎖DNAで、大きさはおよそ163kbpであった(図3)。
  3. ウイルスの形態やゲノム核酸の特徴から、当該ウイルスは、かつてバキュウロウイルス科のNudibaculovirinae亜科に分類され、現在、国際ウイルス命名委員会(ICTV)の分類表第6版(1993)で未分類種に移されているOryctes rhinoceros Virus(OrV)グループに属する、新種のウイルスと考えられ、本ウイルスの名称としてPRDV(Penaeid rod-shaped DNA virus) を提案した。

[その他]
研究課題名:養殖エビ類大量へい死原因ウイルス等の種特異的遺伝子の探索・単離
予算区分 :バイテク研究(病原遺伝子)
研究期間 :平成7年度(平7〜12)
研究担当者:井上 潔、山野恵祐、三輪 理
発表論文 :The penaeid rod-shaped DNA virus (PRDV), which causes penaeid acute
            viremia (PAV), Fish Pathol.,31・1,1996.
            養殖クルマエビの"RV-PJ感染症"原因ウイルスの精製、魚病研究、30・4、1995

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