代替タンパク質の併用によるコイ用配合飼料の魚粉削減


[要約]
 魚粉の60%をビール粕から精製した麦芽たん白および大豆粕を併用して置換した飼料をコイ稚魚に6週間給与したところ、魚粉のみをタンパク質源とする飼料より優れた成長が得られた。
養殖研究所・栄養代謝部・栄養研究室
[連絡先]  059658-6411
[推進会議] 水産養殖研究推進全国会議
[専門]     魚類栄養
[対象]     魚類
[分類]     研究

[背景・ねらい]
 養魚用飼料の主たるタンパク質源である魚粉の原料となるマイワシの漁獲量が近年急速に減少していることから、魚粉に替わる栄養価の高いタンパク質源を探索し、魚粉使用量を削減する必要がある。これまで我々の研究室では、ビール粕から精製した麦芽たん白(malt protein flour,MPF)(表1参照)の魚粉代替原料としての利用性を検討してきた結果、ニジマスやマダイ等の肉食性魚類では魚粉の40%程度を代替できる優れた原料であることを明らかにしてきた。また、魚粉代替原料の配合に伴うアミノ酸バランス(タンパク質の栄養価)を改善する方法として、結晶アミノ酸の添加や、大豆粕(soybean meal,SBM)(表1図1参照)等との併用が効果的であることをニジマスで確認した。今回は雑食性のコイにおけるこれら魚粉代替原料の利用性を検討した。

[成果の内容・特徴]

  1. MPF単独でコイ稚魚用配合飼料中の魚粉を40%代替することができた(図2)。
  2. 結晶アミノ酸の添加によりMPF単独で魚粉の60%を代替することができた(図2)。
  3. MPFとSBMを1:1の割合で併用し、魚粉の60%を置換した飼料で、魚粉のみをタンパク質源とする対照飼料より優れた増重率が得られた(図2)。
  4. MPFおよびSBMのタンパク質の消化率は魚粉のそれと大差なかった(図3)。

[成果の活用面・留意点]
 代替原料の併用により魚粉の半分以上を置換した飼料で対照の魚粉単独飼料より優れた成長が得られたことは特筆すべき結果である。また、我々の研究室はこれらMPF、SBMに加え複数の素材の併用によりさらに魚粉を削減できることをニジマスで確認しており、コイ用実用飼料においてもMPFとSBM等の併用により、魚粉使用量の大幅な削減が期待される。これら代替原料の併用効果の発現のためには、ある原料で不足する必須アミノ酸を、そのアミノ酸を豊富に含む他の原料で補うなど、全体としてのアミノ酸バランスが良好となるように各原料のアミノ酸組成(図1)や消化率(図3)に留意しながら適切な比率で配合する必要がある。

[その他]
研究課題名:ビール粕精製粉末麦芽タンパクの養魚飼料への利用に関する研究
予算区分 :官民共同
研究期間 :平成7年(平成5〜7年)
研究担当者:秋山敏男、山本剛史、鵜沼辰哉
発表論文 :Utilization of malt protein flour in fingerling carp diets、
      Fisheries Science(印刷中)
            ニジマス、コイおよびマダイ稚魚による植物性魚粉代替原料中の
      タンパク質およびアミノ酸の利用率、平成8年度日本水産学会春
      季大会講要、p.109、1996

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