単クローン抗体による海産魚イリドウイルス感染症の迅速診断技術の開発


[要約]
 マダイイリドウイルスに対する単クローン抗体を作製した。得られた抗体は間接蛍光抗体法によって各種海産養殖魚のイリドウイルスと特異的に反応し、本症の迅速確定診断にきわめて有効である。この成果は既に県水試の魚病診断に活用されている。
水産庁養殖研究所・病理部
[連絡先] 05996-6-1830
[部会名] 水産養殖
[専門]  魚病
[対象]  海産養殖魚
[分類]  普及

[背景・ねらい]
 マダイをはじめとする各種海産養殖魚のイリドウイルス感染症は、毎年夏の高水温期を中心に西日本の養殖場で流行を繰り返し、産業的に大きな被害をもたらしていることから、本症の早期診断と防除のために迅速で正確な診断技術の開発が強く望まれていた。

[成果の内容・特徴]

  1. マダイイリドウイルスに対する単クローン抗体を20クローン作製した。
  2. 単クローン抗体を用いた間接蛍光抗体法により各種イリドウイルスの反応性を検討した結果、マダイとスズキ由来のイリドウイルスの抗原性は同一と考えられ、イシダイ由来株には抗原性に多少の差異が認められた。また、ウナギおよびカエル由来のイリドウイルスとはまったく反応しなかった。すなわち、作製した単クローン抗体は現在海産魚に蔓延しているイリドウイルスとのみ特異的に反応する抗体である。
  3. 単クローン抗体を用いた間接蛍光抗体法によって、マダイ病魚の脾臓からイリドウイルスの抗原を検出することができた。1994年には西日本各地の養殖場で発生した病気のうち、イリドウイルス感染が疑われた病魚について診断したところ、マダイをはじめとしてブリ、カンパチ、シマアジ、ヒラマサ、イシダイ、イシガキダイ、チダイ、スズキ、トラフグおよびキジハタの11魚種でイリドウイルスの感染が確認された(図1)。
  4. 単クローン抗体を用いた蛍光抗体法は、従来イリドウイルスの診断に用いられてきたギムザ染色法よりも確実に、かつ早い時期に診断が可能である。また、脾臓における肥大細胞の出現が顕著でないブリなどの魚種では、ギムザ染色法では診断が困難であるが、本法では陽性反応の識別が容易であり、確実な診断が可能である。

[成果の活用面・留意点]

  1. 昨年度から県水産試験場あるいは魚病センターで本法による診断が実施され、本年度は本診断法は16の主要な海産魚生産県に普及している。
  2. 病気の早期の確定診断が可能となったことにより、効率的な防疫対策を講ずることが可能となる。

表1


[その他]
研究課題名:養殖魚ウイルス疾病のワクチン利用による予防・防除技術
予算区分 :特別研究
研究期間 :平成7年度(平成5〜7年)
発表論文等:マダイイリドウイルスに対する単クローン抗体の作製、魚病研究、30、
      47〜52(1995)
      単クローン抗体を用いた蛍光抗体法によるマダイイリドウイルス感染症
      の診断、魚病研究、30、115〜119(1995)
      平成7年5月、勤務発明審査を経て特許出願した。

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