地域特産化をめざした二枚貝垂下養殖システムの開発
日本のアサリ漁業は生産量が著しく減少しているため、国産アサリを増やすためにホタテやカキのような垂下養殖を導入する意義が増している。本課題では、アサリの養殖用種苗の確保のために網袋を用いた天然採苗手法や人工種苗育成法を開発すると共に垂下養殖の容器・基質および養殖施設の改良を行った。これらの技術により、地元で採苗し養殖した地域特産品としてアサリを生産するシステムを開発した。
担当者名 国立研究開発法人水産総合研究センター増養殖研究所 養殖システム部  連絡先 Tel.0599-66-1830
推進会議名 水産増養殖関係 専門 増養殖技術 研究対象 あさり 分類 研究
「研究戦略」別表該当項目 1(2)水産生物の効率的・安定的な増養殖技術の開発
[背景・ねらい]
1.アサリは産業上最も重要な二枚貝の一つであるが、生産量が著しく減少しアサリ漁業は厳しい状況に置かれている。これに対し、ホタテガイ・マガキでは垂下養殖の導入により、生産量が増大し安定している。

2.アサリにも垂下養殖を導入することで、安定生産と高品質な生産物を期待できる。

3.採算性と効率性を満たす垂下養殖システムを開発・普及させるため、安定したアサリ天然種苗の採苗技術の開発および低コストで安全な養殖施設・資材とその設置・管理手法の開発を目的に研究を行った。


[成果の内容・特徴]
1. アサリ天然種苗の採苗手法として、網袋と人工芝を用いて周辺の干潟域より高密度に採苗できる効率的な採苗法を開発した(図1)。

2. アサリの養殖容器・基質として、網カゴと軽石を用いる方法を開発し、軽量化と効率化に成功した。アサリ垂下養殖施設として、いかだ式に加え延縄式を半沈下式にすることにより安定性が著しく向上することを確認した(図2)。

3. 垂下養殖したアサリは干潟養殖したアサリより著しく成長に優れることを示し、また寒冷地(北海道)でも垂下養殖アサリが極めて良好な成長をすることを見出した(図2)。


[成果の活用面・留意点]
1. 国内各地へアサリ垂下養殖を導入することで、既存のアサリ漁業として未利用な場所や季節が活用され、漁業生産の底上げに貢献できる。また、養殖期間中にアサリが自然産卵し、産み出された幼生が天然資源に加入することにより資源量回復への寄与が期待される。

2. 養殖アサリが地域の特産物として朝市等で販売されたほかホテル・レストラン等で地元食材として用いられている。その他、集客を促す広告塔として関連する観光・サービス産業への波及効果が期待できる。

3. 本技術は一般市民や観光客等に養殖体験を提供することが可能。また小中学校の環境教育に体験学習として取り入れることにより、海域環境や生態系への関心を高めるとともに後継者育成を促進する。


[その他]
研究課題名:地域特産化をめざした二枚貝垂下養殖システムの開発

研究期間:平成24〜26年度

予算区分:農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業(実用技術開発ステージ)

研究担当者:増養殖研、瀬戸内水研、水工研、千葉県、三重県、兵庫県、北海道

発表論文等:

 1)長谷川夏樹他.アサリ増殖基質としてのカキ殻加工固形物「ケアシェル」の利用.水産技術 5, 97-101 (2012)

 2)長谷川夏樹他.アサリ垂下養殖における基質の検討.水産増殖 63(1), 9-16 (2015)

[具体的データ]



図1.潮間帯において効率的にアサリ種苗を確保するための天然採苗装置(人工芝式および網袋式)。 約100m2分の敷設面積で10万個体のアサリ種苗確保が可能。




図2.アサリ垂下養殖のコンテナ容器を網カゴ、基質の砂・砂利を軽石に改良(左上)、半沈下式延縄施設により耐波性が著しく改善(右上)、同所で垂下と干潟でのアサリの成長を比較(左下)、函館港内で垂下飼育したアサリの成長(右下)







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