湯ノ湖の釣魚者数データからの全国の内水面遊漁者数の推定
湯ノ湖の釣魚者数と漁業センサスの遊漁者数の関係解析により、湯ノ湖の年間釣魚者数から全国内水面のマス類遊漁者数及び遊漁者総数を推定する式を求めた。全国マス類遊漁者数推定式:y =1727897.3 ln x −14527500.7(x、湯の湖年間釣魚者数;y、全国内水面マス類年間遊漁者数;ln、自然対数の関数)、全国内水面遊漁者総数推定式:y=4349397.0 ln x −29128113.5(y、全国内水面年間遊漁者総数)。
担当者名 独立行政法人水産総合研究センター増養殖研究所 内水面研究部 生態系保全グループ 連絡先 Tel.0288-55-0055
推進会議名 内水面関係 専門 資源管理 研究対象 他の淡水魚 分類 研究
「研究戦略」別表該当項目 1(2)水産生物の効率的・安定的な増養殖技術の開発
[背景・ねらい]
全国の内水面における遊漁者数の統計値は、農林水産省が5年おきに刊行する「漁業センサス」において1976年以来公表されてきた。しかし、行政改革の一環として、2005年を最後に内水面遊漁者数の統計値は収集されなくなった。水産資源や漁場を管理する上で、採捕者数を把握することは重要である。このことは内水面の遊漁についても同様であり、より合理的な遊漁の管理を図る上で遊漁者数の把握は不可欠である。

そこで、既存の統計資料から内水面の遊漁者数を推定する手法の開発に取り組んだ。


[成果の内容・特徴]
水産庁の研究水面である栃木県日光市に位置する湯ノ湖(図1)の釣魚者数と漁業センサスにおける全国の遊漁者数との関係を解析したところ、両者の間に有意な相関が認められた(図2)。それをもとに、湯ノ湖の年間釣魚者数から当該年の全国内水面のマス類遊漁者数および遊漁者総数を推定する式を求めた。式は次のとおりであった。

全国のマス類遊漁者数の推定式:y =1727897.3 ln x −14527500.7

(x、湯の湖の年間釣魚者数;y、全国内水面のマス類の年間遊漁者数;ln、自然対数の関数)

全国内水面の遊漁者総数の推定式:y=4349397.0 ln x −29128113.5

(x、湯の湖の年間釣魚者数;y、全国内水面の年間遊漁者総数;ln、自然対数の関数)。


[成果の活用面・留意点]
推定された遊漁者数とその動向に基づいて、特にマス類遊漁の研究推進や振興を図ることができる。ただし、得られた数値は推定値であるため、実際の遊漁者数との整合性を検証するための手法を開発する必要がある。また、アユやその他の魚種についても遊漁者数の推定手法を開発する必要がある。
[その他]
研究課題名:内水面において遊漁がもたらす生態系サービスの把握と向上に関する研究、湯ノ湖・湯川調査研究推進協議会にかかる調査研究

研究期間:平成23年度

予算区分:交付金

研究担当者:中村智幸

発表論文等:中村智幸.2012.奥日光湯の湖の釣魚者数データからの全国の内水面遊漁者数の推定.水産増殖,60(2):255-260.
[具体的データ]




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