養殖ヒラメに寄生する新種のクドア属粘液胞子虫による食中毒の防止技術の開発 |
ヒラメに寄生する新種の粘液胞子虫(Kudoa
septempunctata)に起因する食中毒を防止するため、本クドアの汚染施設とヒラメへの感染時期を特定するとともに、ヒラメ体内における本クドアの分布を明らかにし、簡易検査法を開発した。 |
担当者名 |
独立行政法人水産総合研究センター増養殖研究所 病害防除部 病原体研究グループ |
連絡先 |
Tel.0972-32-2125 |
推進会議名 |
水産増養殖関係 |
専門 |
病理 |
研究対象 |
魚類 |
分類 |
研究 |
「研究戦略」別表該当項目 |
1(2)水産生物の効率的・安定的な増養殖技術の開発 |
[背景・ねらい] 原因不明の食中毒の一部が、ヒラメに寄生する新種の粘液胞子虫(Kudoa
septempunctata)に起因する可能性が高いことが判明した。刺身用ヒラメは、広く流通しているため、更に被害が広がる可能性もあり、対策の確立が急務となっている。そこで、本粘液胞子虫による食中毒を防止するために、汚染施設等の特定による感染拡大防止と養殖現場で使用できる簡易検査法の開発を行った。
[成果の内容・特徴] 全国調査では、本クドアに感染したヒラメは全体の0.7
%であり、発生した地域やその種苗の履歴から、本クドアの感染は、限られた特定の海域の種苗生産場や養殖場で起こっており、春に生産したヒラメでは遅くとも10月までに感染していることが示唆された。感染試験の結果から、本クドアはヒラメからヒラメへ直接感染する可能性は極めて低いことが解った。本クドアを特異的かつ明確に検出するPCRプライマーを開発した(図1)。本クドアの寄生数は、ヒラメ個体間で大きなばらつきがあったが、体内分布は、部位による偏りは認められなかった。このため、ヒラメのどの部位から筋肉を採取しても、検査材料として利用できることが解った。簡易検査法として、体側中央部、尾柄部等に切り込みを入れて綿棒で微量の筋肉を採取し(図2)、スライドグラスに塗抹してメチレンブルー染色を施し(図3)、顕微鏡観察により本クドアの有無を確認する(図4)、方法を開発した。
[成果の活用面・留意点] 開発された検査法は養殖現場で利用され、感染ヒラメは出荷が規制されている。検査に合格したヒラメが、未検査の輸入ヒラメ等と混ざらない流通管理が必要である。また今後は汚染海域の種苗生産場や養殖場における感染防除法の開発が必要である。
[その他] 研究課題名:養殖ヒラメに寄生する新種のクドア属粘液胞子虫による食中毒の防止技術の開発
研究期間:平成23年度
予算区分:平成23年度新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業(農林水産技術会議)
研究担当者:佐古 浩、佐藤 純、米加田 徹、釜石 隆(独立行政法人
水産総合研究センター 増養殖研究所)、横山 博(国立大学法人 東京大学大学院 農学生命科学研究科)、山下亜純、武智昭彦(愛媛県農林水産研究所
水産研究センター)、福田 穣、大屋 寛、木本圭輔(大分県農林水産研究指導センター 水産研究部)
発表論文等:投稿準備中 |
[具体的データ] |
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