ブリの性決定遺伝子座特定に関する研究 |
ブリ性決定遺伝子座は連鎖群12上にあると特定された、また性決定と連鎖するアレルは雌親魚から遺伝することがわかり
、本結果からブリがZW型の性決定遺伝様式を持つことが明らかになった、性決定遺伝子座と最も強く連鎖したマーカーSequ21を用いて、親がわかっている種苗の雌雄判別が可能。 |
担当者名 |
独立行政法人水産総合研究センター養殖研究所 生産技術部 育種研究グループ |
連絡先 |
Tel.0599-66-1830 |
推進会議名 |
水産増養殖部会 |
専門 |
水産遺伝育種 |
研究対象 |
ぶり |
分類 |
研究 |
「研究戦略」別表該当項目 |
5(1)水産生物の機能の解明及びゲノム関連の研究開発 |
[背景・ねらい] 我が国の養殖重要種であるブリでは、天然種苗が多く用いられているが、より安定した養殖生産のために、人工種苗による種苗の早期導入と、人工種苗への優良形質付与に関する技術開発が行われている。 ブリ人工種苗生産における問題点として、雄は成熟期に常に排精することが多く、精子の採取が比較的容易であり、また凍結保存技術も確立されている、一方で、雌は1個体から良質な卵を採取できる期間が短いため、また抱卵確認の際のハンドリングにより排卵しなくなることが多く、採卵のタイミングが難しいなど、目的の交配を行うために、ある特定の雌親魚から良質な卵を採取することは難しい。また養殖ブリの出荷においては、雌は春先の産卵期になると体重が目減りするため商品として向かないとされている。そのため、雌雄が判別できれば、出荷時期を雌雄で使い分けることができる。
[成果の内容・特徴] 連鎖解析には天然親魚同士の交配により作出したF1(2008-A)を用いた、19℃で受精、孵化後1日目まで20℃で飼育し、3日間かけて22℃まで上昇させ、その後22℃で飼育した、孵化6ヵ月後に解析個体を解剖し雌雄を判定した。2008-A
のうち、雌19個体、雄19個体を用いて遺伝子型と表現型間の連鎖解析を行った。解析には71個のブリマイクロサテライトマーカーを用いた、2008-Aの56個体(雌28個体、雄28個体)を用いて解析を行い、遺伝子型
/ 表現型間の連鎖関係が有意だった(LOD Score
>3.0)マーカーと、そのマーカーと同じ連鎖群上にあるマーカーを用いて連鎖解析を行った。また他の交配区2008-B、2008-Cにおいても連鎖関係が確認された。
結果
性決定遺伝子座は連鎖群12上にあると特定された (Fig. 1)
性決定と連鎖するアレルは雌親魚から遺伝することがわかった (Fig.
2)
本結果から、ブリがZW型の性決定遺伝様式を持つことが明らかになり、性決定遺伝子座と最も強く連鎖したマーカーSequ21を用いた雌雄判別の可能性が示唆された
[成果の活用面・留意点] これらの候補領域を指標にブリにおける性判別が可能となる。ただし現時点では、両親が特定できる場合のみに有効。
[その他] 研究課題名:魚類天然資源から効率的に優良経済形質を選抜育種する技術の開発
研究期間:H21−25,
予算区分:生研センター、イノベーション創出基礎的研究推進事業
研究担当者:尾崎 照遵、吉田 一範、津崎 龍雄、荒木 和男、
発表論文等:Identification
of the sex-linked locus in yellowtail, Seriola
quinqueradiata.
Aquaculture 308 (2010) S51-S55 |
[具体的データ] |
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