DNAマーカーによるクルマエビの放流効果の把握
クルマエビの種苗放流においては、これまで必ずしも十分に高い放流効果が得られておらず、新たな研究開発による放流技術の向上が求められている。本課題では、より長期かつ広域の放流調査手法の開発を目的としてDNAマーカーによる放流調査手法の開発に取り組んでおり、実際のフィールドにおいてマイクロサテライトDNA及びミトコンドリアDNAマーカーを用いた個体識別による放流種苗の識別に成功した。
担当者名 独立行政法人水産総合研究センター養殖研究所 栽培技術開発センター 栽培技術研究グループ 連絡先 Tel.0972-32-2125
推進会議名 水産増養殖部会 専門 増養殖技術 研究対象 くるまえび 分類 調査
「研究戦略」別表該当項目 1(2)水産生物の効率的・安定的な増養殖技術の開発
[背景・ねらい]
クルマエビは、我が国で最も早く種苗の大量生産技術が確立された種であり、全国各地で毎年1億5千万尾の種苗が放流されている。しかし、それらにおいては必ずしも十分な放流効果が得られておらず、新たな研究開発による放流技術の向上が求められている。本課題ではより持続性が高く複数の放流群の識別が可能な標識の開発を目的とし、マイクロサテライトDNA及びミトコンドリアDNAマーカーでの個体識別技術を応用した放流種苗の識別に取り組んだ。
[成果の内容・特徴]
DNAマーカーで予め遺伝子型を明らかにした天然クルマエビを親として、これらから得られた体長5cmの種苗約20万尾を、7〜8月に大分県沿岸の佐伯湾に放流した。その後、8〜11月に放流地点周辺でのサンプリングを行い、DNAマーカーによる分析を行った。その結果、得られた642尾のサンプルのうち56尾において種苗生産に用いた親エビとの間に親子関係が認められ、DNAマーカーが放流種苗の識別に有効であることが判明した。
[成果の活用面・留意点]
DNAマーカーが放流調査における種苗の識別に有効であることが示された。また、放流後約3ヶ月の時点でも放流種苗が確認され、DNAマーカーがより長期かつ広範囲の放流効果調査に有効である可能性が強く示唆された。
[その他]
研究課題名:DNAマーカーによるクルマエビの放流効果の把握

研究期間:平成18年〜22年

予算区分:運営費交付金

研究担当者:菅谷琢磨・照屋和久・加藤雅博・虫明敬一(養殖研究所)

発表論文等:第3回栽培漁業国際シンポジウムでの口頭発表
[具体的データ]




[研究成果情報一覧] [研究情報]