コイヘルペスウイルス病診断PCR法の改良 |
病性鑑定指針でKHV病診断法として用いられているGrayら(2002)のPCR法にいくつかの問題点が指摘されたため、そのPCR法の改良とその検証を試みた。その結果、改良PCR法では非特異反応が低減し、検出感度もGiladらの方法に匹敵し、反応所要時間も短縮され、問題点が解消された。 |
担当者名 |
独立行政法人水産総合研究センター養殖研究所玉城分室 病害防除部 魚病診断・研修センター |
連絡先 |
Tel.0596-58-6411 |
推進会議名 |
水産養殖部会 |
専門 |
病理 |
研究対象 |
こい |
分類 |
普及 |
「研究戦略」別表該当項目 |
2(2)病原体の制御及び宿主機能活用による病害予防技術の開発 |
[背景・ねらい] 病性鑑定指針でKHV診断法として用いられているGrayら(2002)のPCR法について、プライマーの一部にミスマッチがある、反応所用時間が長い、非特異反応が起こりやすい、Giladら(2002)のPCR法に比べ、感度が若干劣る等の問題点が指摘された。そこで、これらの問題を解消するため、ミスマッチ部位を修正したプライマーを用い、PCR反応プログラムの改良を試みた。
[成果の内容・特徴] 非特異反応を低減し、かつGiladらの方法と同等の感度を有する2通りのPCR反応プログラムを養殖研究所で検討・提案し、コイヘルペスウイルス病研究会参加水産試験場等の代表10機関により検証を行った結果、94℃30秒、(94℃30秒、63℃30秒、72℃30秒)×40サイクル、72℃7分、4℃保冷のプログラムは非特異反応が出にくく、感度もGiladらのPCR法に匹敵し、また夾雑物の多いサンプルに対しても、Giladらの方法よりも反応が良好であることが判明した。また、反応所用時間も2時間程度に短縮され、従来のGrayらの方法の約半分の時間でPCR反応が終了した。
[成果の活用面・留意点] 1.本改良PCR法は従来のGrayらの方法より感度が良好で、夾雑物の多いサンプルにも対応できることから、KHV病の診断法として有用であると考えられる。
2.これまで、KHV病確定診断はGrayらおよびGiladらの2方法によるPCR検査の結果から判定されてきたが、感度の差に起因して両方法の結果が時として一致しない場合があった。本方法の感度はGiladらの方法と同等であることから、Giladらの方法と併用しても結果に違いが生じることはなく、両方法を併用することで、より正確な確定診断結果が期待できる。
3.腐敗した検体からのDNA抽出の際、精製が不十分であると改良PCR法で検出出来ない場合が希にあるが、この場合も採材量や精製DNAの希釈量等により問題は解決できる。
[その他] 研究課題名:高度化事業「コイヘルペスウイルス病の診断・防除技術の開発」
2.新たな診断・検出法の開発(1)PCR法の改良
研究期間 :平成16年度
予算区分 :委託事業(H16〜18)
研究担当者:佐野元彦・湯浅 啓(養殖研究所病害防除部)
発表論文等: 魚病研究に投稿予定
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[具体的データ] |
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