飼育密度によるストレス応答と成長への影響
担当者名 独立行政法人水産総合研究センター養殖研究所 環境システム部 伊藤 文成 連絡先 Tel.0599-66-1830
推進会議名 水産養殖 専門 飼育環境 研究対象 魚類 分類 研究
「研究戦略」別表該当項目 2(2)適正飼育環境の解明と好適生産環境の制御技術の開発
[背景・ねらい]
魚類養殖では飼育密度に起因するストレスから成長不良や罹病による生産性の低下を起こしやすい。そこで、飼育密度と水温を変えてマダイを飼育してストレス応答を調べると共に、それが引き起こされる要因及びストレスと成長との関係を解析し、次の結果を得た。・ストレス指標の血中コルチゾル濃度は、各水温区とも低密度において一旦上昇し、高密度になるに従い低下したが、さらに密度が高まると再び上昇した(図1)。このような密度依存的なストレス反応の変化は、高水温区において低水温区と比べ低密度側にシフトしていた。・日間成長率と血中コルチゾル濃度との間には負の相関が認められた(図2)。・低密度(2.7〜4.2kg/m3)で被攻撃頻度が高く(図3)、被攻撃頻度が高いほどコルチゾル濃度が高かった(図4)。 以上の結果より、@魚類養殖においては最適の養殖密度があり、それは飼育水温により変化すること、Aストレスは成長に悪影響を与えること、B高密度における高いストレスは個体間の距離が至適距離を超えて縮まったことによる密度効果に、低密度での高いストレスは、閉鎖空間で形成される個体間の階層構造による被攻撃頻度の高さに起因していることがわかった。
[成果の内容・特徴]

[成果の活用面・留意点]
この結果は適正養殖密度を試算するための端緒となるほか、養殖魚のストレス状態の指標として血中コルチゾルが有効であることを示す。
[その他]
[具体的データ]







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