分子レベルでみたクルマエビ卵の表層桿状体の形成過程 |
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担当者名 |
独立行政法人水産総合研究センター養殖研究所 生産技術部 山野 恵祐 |
連絡先 |
Tel.0599-66-1830 |
推進会議名 |
水産養殖 |
専門 |
魚介類繁殖 |
研究対象 |
くるまえび |
分類 |
研究 |
「研究戦略」別表該当項目 |
2(1)性成熟・産卵機構の解明とその制御技術の開発 |
[背景・ねらい] ねらい・目的と成果の特徴:
・飼育したクルマエビはほとんど成熟しないため、種苗生産用の親エビは漁獲物から完熟エビを選別し利用している。効率的な種苗生産のために人為成熟させる技術の開発が求められている。 ・一方、クルマエビが成熟、産卵する仕組みは未解明の部分が多い。 ・産卵1-2日前になるとクルマエビの卵には表層桿状体が形成され完熟卵のマーカーとなっているが(図1)、本研究ではその形成過程を分子レベルで解析し、成熟の仕組みの理解を高めた。 ・表層桿状体を構成する蛋白質をコードする遺伝子の塩基配列を解読し、この蛋白質は細胞外基質蛋白質、スロンボスポンジン(TSP)であることが分かった。 ・TSP遺伝子は卵黄蓄積を始める前の未熟な卵でのみ働いていた(図2)。 ・TSP蛋白質は卵黄蓄積期初期から作られ始めた(図3)。 ・TSP遺伝子の転写、TSP蛋白質への翻訳、表層桿状体構造の形成は卵発達の全く異なる時期に起こることから、それぞれの段階が異なるしくみで調節されていると推測された
[成果の内容・特徴]
[成果の活用面・留意点] 成果の活用面: 表層桿状体蛋白質の成熟度評価への利用、催熟技術開発のための基礎的知見 [その他]
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[具体的データ] |
図1 成熟卵の組織像
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クルマエビ類では産卵1,2日前になると卵表層に表層桿状体が放射状に形成され、成熟卵の良い指標となる。
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図2 TSP遺伝子の卵巣内での発現部位
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未熟な小さい卵でのみTSP遺伝子は働いている(濃い染色部位は遺伝子発現部位)。 Y:卵黄蓄積した卵
I:未熟な卵 |
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図3 卵巣発達に伴うTSP蛋白質の生産過程
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TSP蛋白質は卵黄蓄積初期から生産される。
上段:電気泳動法で分離した卵巣の蛋白質(一般染色) 下段:TSP蛋白質だけを染色
1:分子量マーカー、2:未熟卵巣、3&8722;5:卵黄蓄積期、6&8722;7:表層桿状体形成期
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