世界で初めてシラスウナギの人工生産に成功
担当者名 独立行政法人水産総合研究センター養殖研究所 生産技術部 田中 秀樹 連絡先 Tel.0599-66-1830
推進会議名 水産養殖 専門 魚介類繁殖 研究対象 うなぎ 分類 研究
「研究戦略」別表該当項目 10(1)その他
[背景・ねらい]
ねらい・目的と成果の特徴:

1.ウナギ養殖の種苗はすべて天然のシラスウナギに依存している

2.資源量減少により,価格の高騰や必要量が確保できない等種苗供給に不安がある

3.餌付きや成長の個体差が大きい

4.土用の丑の日までに製品化するため早期種苗の需要が高い

5.上記問題点解決のため,人工種苗生産が望まれている

6.人工孵化は可能なものの,適正な仔魚の餌や飼育条件が分からず育たなかった

7.餌や飼育条件の改良により,葉形仔魚(レプトケファルス幼生)まで育てることに成功したが,シラスウナギへの変態が最後の難関となっていた

8.さらに飼料の改良を進めることによって最後の難関を打ち破り世界で初めてシラスウナギの人工生産に成功した(図1)

9.人工的に生産したシラスウナギは健全なウナギに育つことを確認し,養殖用種苗として利用可能であることを明らかにした(図2)




[成果の内容・特徴]

[成果の活用面・留意点]
成果の活用面等:養殖用種苗として利用可能なシラスウナギの大量生産実現をめざす研究・開発が盛んになる
[その他]
[具体的データ]

図1.飼育下でのウナギの変態過程.ふ化後250日から270日の同一個体の連続写真.スケール=10mm.

餌や飼育方法を改良した結果,孵化後250日前後で5〜6cm(写真の個体は5.7cm)まで成長したウナギ葉形仔魚(レプトケファルス幼生)は,約20日かかってシラスウナギへと劇的な変態を遂げた。

図2.人工生産したシラスウナギから育てられた稚ウナギ(全長約20cm)

人工生産されたシラスウナギは市販のウナギ稚魚用飼料の給餌により正常に成長し,孵化後558日目で約20cmの稚ウナギに育った。人工生産魚は養殖用種苗として利用可能であることが明らかになった。




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