サクラマス・アマゴの有用形質に関する遺伝的特性の解明


[要約]
サクラマス11河川集団についてmt-DNA(Dル−プ領域)分析を用いて、9ハプロタイプに分けた。ハプロタイプ間で推定された塩基置換率は0.1-1.2%とアマゴに比べて大きく、地理的に近接した集団では同じハプロタイプが出現した。これらの遺伝的特性は、資源管理のための重要な情報となる。
養殖研究所・遺伝育種部・遺伝資源研究室
[連絡先]   0596−58−6411
[推進会議]  水産養殖
[専門]    水産育種
[対象]    サクラマス・アマゴ
[分類]    研究

[背景・ねらい]
サクラマス・アマゴは重要な養殖対象魚種として各地で様々な特性を持った系統が使用されている。サクラマスとアマゴはサケ科魚類の中でも集団や個体間の特性に著しい差異があることが知られている。しかし、その諸特性に関与する遺伝的なベ−スについての知見は極めて少なく、品種としての安定性の十分でない。ここでは、新しい品種開発の基礎として集団間における諸特性の差異に関与する遺伝性についてDNAレベルで検討した。

[成果の内容・特徴]

  1. サクラマス11河川集団のmt-DNAのDル−プ領域を16酵素でPCR-RLFP分析した結果、9ハプロタイプに分けられた。
  2. そのうち1河川集団にはmt-DNAサイズの異なる個体が高確率で出現し、その領域には160bpと70bpの塩基が挿入されていた。
  3. ハプロタイプ間で推定された塩基置換率は0.1-1.2%で、地理的に近接した集団に同じものが出現した。  
  4. ハプロタイプ間の類縁関係とその出現率から、サクラマスはアマゴに比べて遺伝的分化が進んでいることが示唆された。

[成果の活用面・留意点]

  1. ミトコンドリアDNAを用いたサクラマス河川集団の遺伝的タイプ分けが可能となり、河川集団の遺伝子資源としての評価法が確立した。  
  2. サクラマスの遺伝的分化レベルの把握により、資源管理のための重要な情報が得られた。 
  3. サンプリングの問題で、地域的に離れた集団間の遺伝的差異が連続的なものか、あるいは地域を境に大きく変化するものか確認できていない。
[具体的データ]  
 表1 サクラマス(ヤマメ)河川集団におけるハプロタイプの出現数                                  
 図1 標本の採集位置(地図番号は表1に対応)

[その他]
研究課題名:サクラマス・アマゴの有用形質に関与する遺伝特性の解明	
予算区分 :連携開発研究
研究期間 :平成9〜14年
研究担当者:岡崎 登志夫
発表論文等:Molecular evidence from short interspersed elements (SINEs) 
           that Oncorhynchus masou (cherry salmon) is monophyletic. 
           Canadian Journal of Fisheries and Aquatic Sciences 1998 SS:1864-1870

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