第50回を迎えたUJNR水産増殖部会:永続的な日米の協力関係 |
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天然資源の開発利用に関する日米会議(U.S.-Japan Cooperative Program in Natural Resources)水産増養殖専門部会(Aquaculture Panel)は、1968年(昭和43年)に設置され1971年から合同会議がはじまり、日本とアメリカで交互に合同会議及びシンポジウムが開催されています。2011年の東日本大震災など、延期されたこともありましたが、ほぼ毎年50年以上にわたって活動は継続され、2022年には第50回の記念すべき会議が開催されました。 会議では、日本の青野部会長(当時)から「水産増養殖専門部会は今回で50回の節目を迎えます。第1回部会1971年に東京で開催され、共同声明が採択されました。それ以降、原則毎年、日米交互に開催して現在にいたっています。この間、魚類養殖、貝類養殖、甲殻類養殖、環境、病気、育種、栄養と飼料、種苗生産、繁殖、放流など、水産増養殖に関する様々なテーマについてシンポジウムを開催し、情報交換と研究交流を実施してきました。研究交流の一部は共同研究に発展しています。この3年間はコロナ感染拡大により、オンラインでの開催となっていますが、コロナ感染拡大という障害を乗り越えて交流を継続できているのは、水産増養殖専門部会での日米のつながりの強さを示していると考えています。」と50回を記念する挨拶がありました。 また、第50回会議では、米国部会長を退任されたRust博士に対し、米国部会長としての11年にわたる貢献に対して表彰が行われました。青野部会長(当時)から、「11年間にわたり、米国部会長として水産増養殖専門部会の発展にご尽力されました。ラストさんは、この11年の間に、3カ年計画を4回実施し、育種、環境変動、養殖疾病に関する研究交流を深め、特に、ブリ育種やマガキ生態研究において日米の共同研究を主導し、これらの研究開発を発展させました。ラストさんの親しみやすい人柄が、日米の交流を温かく深いものにしたと感じています。」と功績を称える挨拶がありました。Rust博士から「優しさと思いやりにとても感謝します。(中略)この専門部会は次世代に引き継がれ、50周年を迎え、今もなお結びつきの強さを保っています。」とお礼の言葉が述べられました。後任として米国部会長になったWhaley博士からも「米国及び世界の水産養殖を支えるラストさんのリーダーシップ、献身、そして情熱に敬意を表する次第です。(中略)ラストさんの人徳と協調性により、長年にわたって友好関係と強い絆が育まれてきました。私たちはそれを継承する努力を続けています。」と功績を称える挨拶がありました。 |
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第50回UJNR水産増養殖部会の事務会議のスナップショット |
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50年以上にわたる日米の協力関係の中で、科学シンポジウム、共同研究、人的交流、文献交換などの研究交流により、互いに学び合い高め合ってきました。それぞれの国の養殖業の状況は違いますが、近年は、気候変動などの影響を受ける中で持続可能な養殖業を発展させることを共通の目標として取り組んでいます。 第45回から第47回(2017-2019)は「環境変化における海面養殖」を三カ年計画テーマとして、環境変動の養殖業への影響とその緩和、海面養殖による環境変化の影響軽減が議論されました。第48回から第51回(2020-2023)は「養殖業の疾病管理」を三カ年計画のテーマとして、水産診断体制、病原体研究、疫学調査、免疫機構、ワクチン開発、水産医薬品などが議論されました。第52回(2024)からは新たに「持続可能な水産養殖の新時代−次の50年間の研究、教育、コラボレーション」の三カ年計画が始まり、次の50年を見据えた持続可能な水産養殖を議論しています。 UJNR水産増養殖部会の活動は、時代に合わせて取り組み内容を変えながらさらに発展していきます。 50年以上にわたるUJNR水産増養殖部会の活動は年表にまとめられています。リンク先は次になります。 UJNR活動年表 また、科学シンポジウムのプログラム、要旨、プロシーディングスは、次のリンク先から参照することができます。 科学シンポジウム |
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1994年11月に開催された第23回会議の参加者写真(養殖研ニュースNo.29, 1995より) |
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2024年10月29日更新 |