Ⅱ. 日本の養殖業の現状と課題-7. 水産研究・技術開発戦略
水産庁は平19年3月に「水産基本計画」(平24年3月23日に「新たな水産基本計画」が閣議決定されています)を策定しました。
そこで、新しい水産基本計画が定める施策の重点方向に即して研究開発を重点化するとともに今後の期待や課題に応えるため、「水産研究・技術開発戦略」を改定することとし(平19年4月)、今後10年間を見通した研究開発の方向と、特に、当面5年間程度を目処に重点的に実施するべき課題を示すとともに、研究開発を推進する上で必要な各種の施策を整理した。産学官の連携による水産業分野の研究開発の戦略的な展開と国民各位の理解を願って、広く研究開発関係者と国民に対して提示しました。
養殖業に関連する重要な研究開発課題と推進方向の一つとして、
「水産資源の回復・管理及び積極的な増養殖の推進に関する研究開発」を掲げ、「水産生物の効率的・安定的な増養殖技術の開発」として
「安全で安心な養殖魚介類を効率的に生産するため、育種を積極的に進めるとともに、代替タンパク飼料の開発や自動給餌技術の開発・高度化、魚類・貝類養殖と藻類養殖を組み合わせた複合養殖技術の確立を通じた環境負荷の低減や省エネルギー化を図る。さらに、大規模養殖や波浪の強い海域及び未利用の大水深域における養殖技術の開発に取り組む。また、放流種苗の遺伝的多様性の確保等、生態系の構造と機能の保全に配慮した増殖技術を開発する。加えて、種苗生産や養殖が困難な魚介類の安定的な種苗生産や養殖技術を開発するほか、増養殖対象となる水産生物の疾病防除技術を開発する。特に、ウナギ、カンパチ等の人工種苗生産技術の開発、借り腹技術等を活用した革新的なマグロ養殖技術の開発、低環境負荷飼餌料の開発、サケ・マスを含む人工種苗生産と種苗放流技術の高度化、アユ冷水病等のワクチン開発及びコイヘルペスウイルス病の防除技術の開発等を推進する。
また、「新しい水産業を切り拓く基礎的・先導的な研究開発」を掲げ、「水産生物の機能の解明及びゲノム関連の研究開発」として、
「増養殖技術の飛躍的な発展や効率的な育種のため、耐病、成長、繁殖などの有用形質に関する分子生物学的な解明とその制御技術を開発する。また、既存及び新規に解明されたゲノム情報を体系化し、数値シミュレーション等による発現形質の事前検討により、効率的な育種を可能とするシステムを開発する」としています。