Ⅱ. 日本の養殖業の現状と課題-6. 東北地方太平洋沖地震(平成23年)への対応
東日本大震災に伴う津波により、全国の海面漁業・養殖業生産量の5割を占める7道県(北海道、青森、岩手、宮城、福島、茨城、 千葉)を中心に広範な地域で大きな被害が発生。被害は震源地に近い岩手県、宮城県、福島県で特に大きく、その沿岸域はほぼ全域にわたり壊滅的な状況です。
水産関係で被害額の合計は1兆2637億円、そのうち養殖関係(養殖施設+養殖物)の被害額は1335億円でした。
平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の津波は、東北、関東以外の地域にも広範囲に押し寄せ、北海道渡島森港で1.6m以上、三重県鳥羽で1.8m以上、高知県須崎港で2.8m以上の高さの津波が観測され、大きな被害をもたらしました。波浪に弱い養殖施設の被害は特に広範囲に及び、例えば、北海道の噴火湾のホタテ養殖では、養殖施設が流されたことにより、浮き玉やロープが絡んで使用不可能となるなどの甚大な被害が発生しました。また、三重県、和歌山県、徳島県、高知県、大分県、宮崎県、沖縄県などでも、ノリ、カキ、クロマグロ、マダイ、ハマチ、カンパチ、モズク等の養殖施設に大きな被害が生じています。
今回の地震の震源に近い、宮城県中部以北から岩手県にかけての三陸地域は、海岸線が複雑に入り組んだリアス式海岸が連なっており、天然の良港に恵まれるとともに、養殖生産に適した波の静かな湾を多数有しています。ホタテ、カキ等の貝類、コンブ、ワカメ等の藻類、ギンザケ等の魚類の養殖が盛んに行われています。このような漁業を支えるため、県の試験研究機関、市町村や漁業協同組合が設置した種苗育成施設なども多数設置されています。
復旧対策として、応急の対応(第1ステップ:被災者の生活確保、被害状況の把握)、当面の復旧対策(第2ステップ:一刻もはやい生業の再開)を経て、第3ステップ(本格的復旧対策)として、「水産復興マスタープラン」(平成23年6月28日水産庁公表)、「東日本大震災からの復興の基本方針」(平成23年7月29日公表)に沿って、水産を構成する各分野を広く見渡し、地元の意向を十分に踏まえ、我が国水産の復興を推進 しているところです。
「水産を構成する各分野を総合的・一体的に復興 」することを基本的方針として、養殖・栽培漁業については「さけ・ます等の種苗生産・放流体制を再構築 」および「生産性等の高い養殖経営体の育成に向けた共同化・協業化・法人化 ・近代化」を方針としています。
具体的には
①さけ・ます等の種苗生産体制の再構築や藻場・干潟等の整備、科学的知見も活かした漁場環境の把握、適切な資源管理等により漁場・資源の回復を図ります。
②養殖業は生産開始から収入を得られるまでに一定期間が必要である等、個々の漁業の特性にきめ細かく対応しながら、近代化・合理化を促進します。