世界および日本の養殖業の現状と課題

 本レビューは以下の項目から構成されています。
「世界の養殖業の現状と課題」については、’The State of World Fisheries and Aquaculture 2010(世界水産白書2010) (FAO, 2010)’ 、また「日本の養殖業の現状 と課題」については「平成22年度水産の動向」(水産庁)に基づいて構成・編集されて います。
なお、FAOは、2011年に ‘World Aquaculture 2010’ (世界の養殖2010)、 および2012年に ’The Stateof World Fisheries and Aquaculture 2012(世界水産 白書2012)を出版していま す。

I.世界の養殖業の現状と課題
I.世界の養殖業の現状と課題 1.責任ある養殖業
 国連食糧農業機関(FAO)はこれまで「責任ある漁業」の理念を作り上げてきました。
FAOは環境と調和した持続的な漁業資源の利用、生態系や資源に悪影響を及ぼさない漁獲及び養殖の実施、衛生基準を満たす加工を通じた水産物の付加価値向上、消費者への良質の水産物を供給するための商業活動、の4点を包括する概念として「責任ある漁業」を提示しています。わかりやすくいうと、「責任ある漁業」とは、環境や次世代の人類にも配慮した水産資源の持続的開発と利用を実現するための漁業です。そして、それは他から強制されることなく、漁業に関わる全ての国々や人々が自ら責任を持って実現していくことが期待されています。養殖業についても、「責任ある養殖業:環境や次世代の人類にも配慮した水産資源の持続的開発と利用を実現するための養殖業」に関する行動規範(養殖開発)が策定され、「責任ある養殖開発」の実現を促進するための問題点について以下の技術指針を発表しています。
  • 養殖餌料製造の適切な実施(2001)
  • 水生動物の責任ある移動のための健康管理(2007)
  • 遺伝子資源管理(2008)
  • 養殖への生態系アプローチの適用(2010)
  • 養殖への天然魚の餌料としての利用 (2011)
  • 養殖への天然種苗の利用(2011)