平成19年度水産増養殖関係研究開発推進特別部会報告書

会議責任者 養殖研究所長
本年度の水産増養殖関係研究開発推進特別部会における開催方針
 独立行政法人水産総合研究センター水産業関係研究開発推進会議運営規程(平成16年11月29日付け16水研本第1380号,改正平成18年4月1日付け水研本第209号)に基づき、水産増養殖研究開発分野において、関連諸機関との密接な連携・協力による具体的な取組みを推進するため水産増養殖関係研究開発推進特別部会を開催した。
 今年度の水産増養殖関係研究開発推進特別部会は、上記のセンター規程に基づき、養殖研究所長の判断により、関連する各ブロックの研究開発推進会議の協議に参加することで専門特別部会の協議に代えることとした。
 部会については、増養殖に関する全国的な視野での問題点及び研究ニーズの集約と、それに対応する研究の方向性に関する共通認識の形成に必要な協議を行うため、昨年度に新たに創設した養殖産業部会と増殖連絡会を開催した。また従来より開催していた魚病部会を開催した。本特別部会に関する成果情報については、各部会において報告することにより特別部会としてのとりまとめとした。
 一方で,各ブロックにおける問題点や,養殖研に対するニーズをより的確に把握するために,関連の深いブロック推進会議,内水面関係試験研究推進会議に養殖研から研究管理職員等が参加し,養殖研の活動や増養殖特別部会の報告を行うとともに,各ブロックから提出された増養殖特別部会向けの研究ニーズや成果情報について協議に加わった。

 1. 開催日時及び場所 (1)養殖産業部会  日時:平成19年12月6日13:30〜17:30
                            場所:伊勢シティホテル(伊勢市吹上1-11-31)
                (2)増殖連絡会   日時:平成19年12月7日 9:00〜12:00
                            場所:伊勢シティホテル(伊勢市吹上1-11-31)
                (3)魚病部会     日時:平成19年11月27日 13:00〜17:00
                            場所:伊勢シティホテル(伊勢市吹上1-11-31)

 2. 出席者所属機関数及び人数  延べ 40機関 138名

 3. 結果の概要

議 題 結果の概要
1. 研究部会
(1)養殖産業部会
出席者所属機関および人数:12機関,53名
開 会 養殖研究所生産システム部長が開会を宣言
主催者挨拶 養殖研究所長より養殖に関する情勢などを含めた挨拶があった。
来賓挨拶  水産庁田辺栽培養殖課長より、挨拶とともに、養魚飼料、漁業経営、くろまぐろ養殖、かき養殖、のり養殖、20年度事業等、最近の養殖業を巡る主な課題と対応について報告があった。
本部挨拶  水産総合研究センター松里理事より、挨拶とともに、水産総合研究センターにおける最近の情勢について報告があった。
出席者紹介 各出席者より自己紹介があった。
議事
1) 平成19年度養殖産業部会について
 議事進行は生産システム部長が執り行った。まず、生産システム部長から当該部会の趣旨と位置づけなどについての説明があった。引き続き、前回会議のフォローアップとして養殖生産物の価格形成に関する研究についての中央水研水産経済部からの情報、並びに新たな養魚用飼料材料の開発に関わる研究および海面給餌養殖場における適正養殖量推定に関する研究についての養殖研究所の最近の取り組みについて、生産システム部長および飼餌料研究グループ長より報告があった。また、当該部会の下に位置づけられた「クエ・マハタ種苗生産研究会」と「アコヤガイ赤変病研究会」の会議開催報告が、栽培技術開発センター長および増養殖システム研究グループ二枚貝増養殖チーム長より行われた。加えて、養殖産業の社会経済学的分析に資する情報収集のため、海洋水産システム協会の主催する「水産業システム化研究会」に養殖研も参画していることを報告した。
2) 行政部局からの情勢報告  水産庁研究指導課橋本研究企画官より、水産研究を巡る情勢報告として、水産庁研究開発関連予算、農林水産技術会議関係予算、農水省地球温暖化対策総合戦略、総合科学技術会議関係、独法整理合理化関係についての情報提供があった。
3) 関係団体からの現状・研究ニーズ等の情報提供  全国海水養魚協会稲垣専務理事より、養殖産業界が依然として厳しい状況にあることが報告され、研究ニーズとして@急激な魚粉供給の逼迫により代替タンパク開発と合成タウリン使用申請を支持する基礎研究、A現場で使用できる簡易な漁場環境分析技術開発、B高付加価値地域特産種の開発と現有マグロ養殖技術の高度化、等についての要望が述べられた。また養魚飼料協会豊田理事より、配合飼料に関して現状報告があり、代替飼料の飼料効率アップのための、@歩留まり向上技術開発、A成長促進技術開発、B飼養技術の高度化、等についての要望が述べられ、質疑が行われた。
4) 各研究機関・各ブロックにおける研究課題・研究ニーズ等の情報提供  各研究所より、各ブロックにおける養殖の現状と研究ニーズについて報告があり情報を共有した。無給餌養殖では、海藻類の貧栄養化による生育不良やノリ育種、カキ等のノロウイルスや貝毒による安心・安全の確保に関するニーズ、給餌養殖では代替飼料開発や漁場環境保全の問題等、また低迷する沿岸漁業を補償するための新たな養殖対象種の開発等が上げられ、質疑が行われた。また、都道府県場長会より上げられた養魚飼料への合成タウリン使用、カキ養殖における付着生物除去、高品質魚類育種品種の開発に係る研究開発について、生産システム部長および生産技術部長より養殖研の対応方針の説明があり、関係機関への情報提供を行った。
5) 総合討論  養魚飼料に関する問題を中心に討論を行った。飼料原料としての廃棄物利用やタウリン等の添加剤、薬剤等の使用に関しての申請手続きの問題や市場規模が小さく民間企業が手を出しにくい等の問題について活発な議論が行われた。また、遺伝子組み換え作物を使用した場合の消費者の安心・安全の確保の問題について討議が行われた。また、漁業者の高齢化や後継者不足による養殖技術の維持の問題が提起され、効率的な飼料の利用と漁場環境保全には飼養技術そのもの改善が重要であるとの議論があった。
6) 成果情報の検討  水研センターの水産研究開発成果情報の養殖関連として14件の課題が登録されたことが報告され、掲載が承認された。
7) 協議内容のとりまとめについて  業務推進部長より、当該会議で提供された全国の養殖産業に関する情報や研究ニーズを水産業が抱える背景等も踏まえて整理し、今後の研究推進や第3期中期計画も視野に入れ、養殖研が中心となって各水研と連絡を取り合って、それを見れば我が国の養殖産業の現状がすぐ分かるような冊子に取りまとめてはどうかとの提案があり、了承された。
 また、本年度の「養殖産業部会」の内容については、水産総合研究センターの規定に基づき水産増養殖関係研究開発推進特別部会報告の一部として理事長あてに報告したいとする事務局の提案が了承された。
閉 会 養殖研究所生産システム部長が閉会を宣言
(2)増殖連絡会 出席者所属機関および人数:12機関,43名
開会 養殖研究所生産技術部長が開会を宣言。
挨拶 養殖研究所長より本連絡会開催の背景などを含めた挨拶があった。
座長選出 養殖研究所生産技術部長及び栽培技術開発センター長を座長に選出した。
議事
1) 昨年度からの経過について
 養殖研生産技術部長より昨年度からの経過説明を行い、この会議を次の中期計画策定を視野に入れた増殖関係の研究戦略を協議する場とすることなど事務局としての考え方が説明された。
2) 増殖関連の研究開発に関する戦略について  各海区等における沿岸漁業の現状分析、今後の研究方向を協議した。各海区からは研究開発の現状等について説明があり、質疑があった。事務局より示された増殖連絡会タイムシリーズのロードマップ案について討論が行われた。その結果,基本的には提案されたロードマップに沿い、増殖連絡会として各海区の現状分析等を更に深め、「水研センターにおける増殖研究の戦略(仮称)」の取りまとめに向けた作業を進めることで合意した。  増養殖分野の研究体制などを論議すべきとの意見などがあり,それらを踏まえた作業を行うこととした。
3) 次年度の運営について 次年度も養殖研が事務局として責任を持って運営に当たること、会議の内容についてはロードマップに従った作業の過程で意見を求めつつ調整を図ることが了承された。
4) 協議内容のとりまとめについて  本年度の「増殖連絡会」の内容については、水研センターの規程に基づき水産増養殖関係研究開発推進特別部会報告の一部として理事長あてに報告することが了承された。
閉 会 養殖研究所生産技術部長が閉会を宣言
(3)魚病部会 出席者所属機関および人数:16機関、42名
開 会 養殖研究所病害防除部渡辺研一主任技術開発員の開会宣言及び司会で議事を進行した。
挨 拶  養殖研究所長から、養殖研がOIEのコイヘルペスウイルス病リファレンスラボラトリーに正式に指定されたこと、各県の診断で「不明病」等の増加により診断が困難になってきていること、養殖研の病害防除関連部局が魚病診断機関からの不明な魚病の診断依頼に対応していることの紹介があり、活発な論議を期待するとの挨拶があった。
議事
1) 昨年度要望等への対応
 昨年度要望への対応として、ニフルスチレン酸の代替薬の候補となる薬剤の検討状況、アユの通称「ボケ病」への対応、養殖研のホームページ上での病魚写真等掲載による魚病診断情報の充実について紹介があった。
2) 魚病を取り巻く情勢報告  消費・安全局水産安全室長より、3月20日に閣議決定された水産基本法について、輸入防疫体制の強化について、KHV病対策について、ホヤの新疾病について、平成20年度予算要求について及び水産用医薬品の使用についての6点について説明があった。
3) 地域合同検討会報告  全国10あるブロックの地域合同検討会幹事県より、本年度のブロックにおける魚病発生状況、トピックス・問題点、要望等の取りまとめ報告が行われた。
 要望として、1)水産用医薬品に関する要望、2)KHV病に関する要望、3)魚病対策研究・診断等に関する要望が出された。
4) 病害防除関連部局の研究・事業成果及び計画について  養殖研の病害防除関連部局の研究・事業課題の昨年度成果及び今年度計画が紹介された。特に、今年度から開始された農林水産技術会議の高度化事業「コイヘルペスウイルス病のまん延防止技術の開発」(4年計画)及び「抗体・プロテインチップを用いたヒラメの健康管理技術の開発」(3年計画)について説明された。
5) 研究会報告  「魚病部会」の下で実施されている研究会・連絡協議会が紹介された。「コイヘルペスウイルス病研究会」が平成18年度で活動を終了し、今後の研究成果は「魚病症例研究会」等を利用して発信していくこと、「アコヤガイ赤変病研究会」が本年度を最後に、来年度からアコヤガイ養殖全体を対象とする「養殖産業部会」傘下の研究会に模様替えすることが紹介された。
6) 総合討議  各ブロックからの要望に対して、消費・安全局水産安全室長、養殖研病害防除部長、養殖研生産技術部長から回答があった。
7) 出席者の講評  本部会の情報の収集・交換の場としての重要性が評価された。更に、養殖研の病害防除関連部局の改組充実に対して、今後の活動に対して期待が述べられた。
閉 会 養殖研病害防除部長が閉会を宣言した。
2.ブロック推進会議報告  各ブロックの推進会議において与えられた説明時間を活用して,養殖研究所の研究状況あるいは増養殖特別部会に関する報告を行った。また各ブロックに寄せられた研究ニーズについて,推進会議の場で論議に参加し,養殖研に関連するニーズについては対応案や研究の現状を説明した。
(1) 中央ブロック推進会議 開催日時及び場所:平成18年12月4日〜5日,横浜市
出席者所属機関及び人数:22機関37名
養殖研からの派遣者:所長 中野 広
1) 養殖研及び増養殖特別部会の報告 ・養殖研究所の19年度の活動概要及び増養殖特別部会について報告を行った。
2) 研究ニーズ ・三重県より栽培漁業対象種の遺伝子バンク的機能に関して要望があり、回答を行った。
3) 成果情報 ・増養殖特別部会の扱う課題は提出されなかった。
(2) 内水面推進会議 開催日時及び場所:平成19年12月13日〜14日,宇都宮市
出席者所属機関及び人数:24機関42名
養殖研からの派遣者:病害防除部長 飯田貴次
1) 養殖研及び増養殖  特別部会の報告 ・10分間の報告時間が与えられ、KHV病確定診断状況、今年度から新たに開始されたKHV病高度化事業の紹介、ウナギ仔魚研究、サケ科魚類の冷水病、アユ冷水病ワクチン実用化等について紹介した。また、静岡県・愛知県で発生しているウナギの骨曲がりについての質問があり、十分な研究が進んでいないことを報告した。
2) 研究ニーズ ・本推進会議からは、事前に魚病関連(アユ冷水病関連3題、KHV病関連4題、SVC関連2題、医薬品関連1題、耐病性育種1題、魚病診断関連1題)、育種関連2題の研究ニーズに関しての照会があり、対処方針を提案し、会議で了承された
3) 成果情報 ・本推進会議からは、増養殖特別部会の扱う課題は提出されなかった。事前の内容校閲の依頼は魚病関係で2題あった。
(3) 西海ブロック推進会議 開催日時及び場所:平成19年12月12日 ,長崎市
出席者所属機関及び人数:20機関31名
養殖研からの派遣者:栽培技術開発センター長 虫明敬一
1) 養殖研及び増養殖特別部会の報告 ・5分間の報告時間が与えられ,養殖研究所の19年度の活動概要について報告を行った。
2) 研究ニーズ ・本ブロックからは,増養殖特別部会へ19年度の研究ニーズは なかった。
3) 成果情報 ・本ブロックを経由して増養殖特別部会で扱うべき課題はなかった。
(4) 瀬戸内ブロック推進会議 開催日時及び場所:平成19年12月19日〜20日,広島市
出席者所属機関及び人数:18機関37名
養殖研からの派遣者:業務推進部長 杜多 哲
1) 養殖研及び増養殖特別部会の報告 ・55分間の報告時間が与えられ,養殖研究所の組織改正、研究状況を中心に説明を行った。質問はなかった。
2) 研究ニーズ ・本ブロックからは,増養殖特別部会への研究ニーズはなかった。
3) 成果情報 ・本ブロックからは,増養殖特別部会の扱う課題は提出されなかった。
(5)北海道ブロック 推進会議 開催日時及び場所:平成19年12月11日,札幌市
出席者所属機関及び人数:16機関33名
1)養殖研及び増養殖特別部会の報告 ・5分間の報告時間時間が与えられ、養殖研究所の情勢報告ならびに増養殖特別部会の部会運営についての報告を行った。
2)研究ニーズ ・本ブロックからの研究ニーズは特になかった。
3)成果情報 ・増養殖特別部会で扱うべき課題は提出されなかった。
(6)日本海ブロック推進会議 開催日時及び場所:平成19年20月19日〜20日,新潟市
出席者所属機関及び人数:27機関39名
1)養殖研及び増養殖特別部会の報告 ・情勢報告に関する資料の配布を行った。その内容に関する質疑等はなかった。
2)研究ニーズ ・本ブロックでは福井県より「カキ養殖における外敵生物の駆除方法の開発」について養殖産業部会での検討の要望があり、上部機関へ伝えるとの同部会での対応について説明した。
3)成果情報 ・本ブロックからは増養殖特別部会の扱う課題は提出されなかった。
(7)東北ブロック推進会議 開催日時及び場所:平成18年12月10日〜11日,塩釜市
出席者所属機関及び人数:24機関35名
養殖研からの派遣者:魚病診断・研修センター長 佐野元彦・業務推進課長 首藤宏幸
1)養殖研及び増養殖特別部会の報告 ・5分間の報告時間が与えられ,養殖研究所の研究状況、部会開催報告を中心に説明を行った。質問はなかった。
2)研究ニーズ ・本ブロックからは,増養殖特別部会への研究ニーズはなかった。
3)成果情報 ・本ブロックからは,増養殖特別部会の扱う課題は提出されなかった。
(8)水産工学関係研究開発推進特別部会 開催日時及び場所:平成19年11月27日,東京都
出席者所属機関及び人数:18機関33名
養殖研からの派遣者:栽培技術開発センター長 虫明敬一
1)養殖研及び増養殖特別部会の報告 ・養殖研究所の19年度の活動概要及び増養殖特別部会について報告を行った。
2)研究ニーズ ・本ブロックからは,特に研究ニーズはなかった。
3)成果情報 ・増養殖特別部会の扱う課題は提出されなかった。