平成17年度水産養殖関係試験研究推進特別部会報告書

会議責任者 養殖研究所長
本年度の養殖特別部会における開催方針
 昨年度に従来の都道府県水産試験研究機関長が参加する水産養殖関係試験研究推進会議が廃止され,代わって水産養殖関係試験研究推進特別部会(以下,養殖特別部会)が新設された。各海区のブロック推進会議への参加者との重複を避けるため,養殖特別部会としての会議は昨年度同様,本年度も開催せず,魚病部会及び,従来から出席希望者を集めて開催している育種,養殖基盤の各部会を連続した日程で開き,最終日の総合討論・所長総括において可能な限り養殖特別部会としての集約を図ることとした。
 一方で,各ブロックにおける問題点や,養殖研に対するニーズをより的確に把握するために,全てのブロック推進会議,内水面関係試験研究推進会議および栽培漁業ブロック会議に養殖研から研究管理職員等が参加し,養殖研の活動や養殖特別部会の報告を行うとともに,各ブロックから提出された養殖特別部会向けの研究ニーズや成果情報について協議に加わった。

 1. 開催日時及び場所  日時:平成17年11月28日13:30〜29日17:00
                場所:伊勢シティホテル(伊勢市吹上1-11-31)

 2. 出席者所属機関数及び人数  延べ 89機関 196名

 3. 結果の概要

議 題 結果の概要
1. 研究部会と所長総括の概要  
(1)育種部会 開催日時:平成17年11月28日13時30分〜17時
参加者:33機関72名
@フォローアップ ・ 平成17年3月17日に品種登録に関わる知的財産権に関して,各県試験研究機関から参加者を募り「水産生物の品種登録制度等に関する研究会」を開催。
・平成17年度の部会活動として,養殖特別部会参加者に対して,育種に関するアンケート調査を実施。
A話題提供「農林水産物の種や家系・産地判別と食味評価」  水産分野でも「形態的に識別が困難な種」や「育種家系・品種」の判別,さらには「産地ブランド化」が重要視されており,水産生物の育種を行う上で,これらの点を十分に考慮し,評価基準を明らかにする必要がある。そこで種などの判別法と食味判定に関する話題を取り上げ,「品種登録制度等研究会」を併催する形で部会を開催した。
 魚介類における地域特産種など関する情報や食味評価基準で重用すべき観点・問題提起,及び,先進の米に関するDNA品種判別技術の開発・産地判別・食味評価等の研究例,形態的識別が困難な貝類の種判別について,それぞれの専門家3名による話題提供があった。
 育種における形質としての水産物の品質評価は,米などの栽培植物と比較すると困難が多いが,養殖(飼育)技術の高度化などを組み合わせ考えることが重要であるとの認識を得た。
(2)養殖基盤部会 開催日時:平成17年11月29日9時〜12時
参加者:38機関80名
@フォローアップ ・昨年度開設したメーリングリストによる「ウナギ親魚飼料開 発に関する情報ネットワーク」を運営した。
・昨年度の部会で要望のあった種苗生産用餌料生物にかかわる 情報交換・交流のための体制作りについて引き続き検討し, 平成17年3月に研究会を開催の予定。
A話題提供「難種苗生産種への挑戦−その成果と今後の展望−」  種苗生産技術開発は,実験室レベルから安定・大量生産へ,さらに産業化レベルまで種によって様々な段階にあるが,難種苗生産種の技術開発によって水産養殖の新たな活路を見出すため,「難種苗生産種への挑戦」をキーワードとして水産養殖の新たな展開について討議し,試験研究の今後の方向性を示すことを目的として話題提供を企画した。クロマグロ,マハタ,イセエビ,ウナギなど種苗生産が極めて困難な魚種に関する技術開発の現状と今後の課題について,それぞれの専門家4名による話題提供があった。
 安定生産に向け,餌料,疾病,形態異常など克服すべき課題は多いものの,これらの魚種で得られた情報は,他の魚種での技術開発にとっても有用であるとの認識を得た。
(3)魚病部会 開催日時:平成17年11月29日13時〜17時
参加者:18機関44名
@フォローアップ  昨年度の要望を受けて,特定疾病の病性鑑定指針の改訂に協力し,コイヘルペスウイルス病情報を養殖研ホームページに掲載。また,不明病診断依頼および新たな診断法の開発を実施。水産用医薬品の開発に関して,担当部局,各県,メーカーとの協力体制について論議した。
A魚類防疫地域合同検討会報告

 全国10ブロックの検討会幹事県より魚病の発生状況,トピックス,問題点が報告され,下記の要望が取りまとめられた。
1)水産用医薬品に関する要望,2)KHV病・特定疾病に関する要望,3)輸出入に関する要望,4)診断等に関する要望

B研究会報告 1)魚病症例研究会:アニサキスに関する特別講演1題,アワビ類の疾病に関する報告8題,その他10題。
2)コイヘルペスウイルス病研究会
3)ワクチン研究会:今年度より農林水産技術会議高度化事業リスク管理型研究「アユ冷水病の実用的ワクチン開発」が開始された。
4)アコヤガイ赤変病研究会
5)ヒラメのエドワジエラ症研究会

(4)養殖特別部会総括

 特別部会3部会の活動について養殖研所長が以下のように総括した。
@育種部会  世界の養殖業が日本市場をターゲットとして戦略的な生産を行っている。本日の話題提供から水産物に関して消費者の立場からみた評価基準が重要であることが浮彫となった。水産総合研究センターとしてはこれらの評価基準を念頭に置き積極的に育種研究を推進する。
A養殖基盤部会  世界の情勢をみると日本の水産業が発展するためには,日本独自の技術,さらには生産物を作り上げる必要があり,難種苗生産種に関する技術開発に積極的に取り組んでいく。
B魚病部会  魚病に関してはアユ冷水病,アコヤ赤変病など多くの問題があるが,やはりコイヘルペスの問題が最大のものである。また水産用医薬品に関する要望がここ数年強い。これらの問題に正面から取り組んでいく。
C要望事項及び研究成果情報  要望事項等については基本的に部会で対応するが,全国的な対応が必要なものについては,全国推進会議に反映させることとした。また,養殖特別部会に提出された本年度の成果情報15課題が承認された。

2.ブロック推進会議報告

 各ブロックの推進会議において与えられた説明時間5〜15分間を活用して,養殖研究所の研究状況あるいは養殖特別部会に関する報告を行った。
 また各ブロックに寄せられた研究ニーズについて,推進会議の場で論議に参加し,養殖研に関連するニーズについては対応案や研究の現状を説明した。
 研究成果情報は,日本海,西海ブロックを通じて5題が,また養殖研以外の機関から直接,養殖特別部会に4題の成果が寄せられた。その他,養殖研から6題を提出した。

(1)中央ブロック推進会議

開催日時及び場所:平成17年12月1日〜2日,横浜市
出席者所属機関及び人数:21機関37名
養殖研からの派遣者:所長 酒井保次
@養殖研及び養殖特別部会の報告 ・養殖研究所の17年度の活動概要及び養殖特別部会について報告
A研究ニーズ ・本ブロックからは,特に研究ニーズはなかった。
B成果情報 ・養殖特別部会の扱う課題は提出されなかった。
(2)東北ブロック推進会議 開催日時及び場所:平成17年12月12日〜13日,塩竃市
出席者所属機関及び人数:23機関35名
養殖研からの派遣者:生産システム部長 生田和正
@養殖研及び養殖特別部会の報告 ・5分間の報告時間が与えられ,養殖研究所の研究状況を中心に説明を行った。
A研究ニーズ ・本ブロックからは,養殖特別部会への研究ニーズはなかった。
B成果情報 ・本ブロックからは,養殖特別部会の扱う課題は提出されなかった。また,内容校閲の依頼もなかった。
(3)北海道ブロック推進会議 開催日時及び場所:平成17年12月13日,札幌市
出席者所属機関及び人数:16機関33名
養殖研からの派遣者:所長 酒井保次
@養殖研及び養殖特別部会の報告 ・養殖研究所の17年度の活動概要及び養殖特別部会について報告
A研究ニーズ ・特に研究ニーズはなかったがホタテガイに関わる疾病について及び札幌魚病診断・研修センター(仮称)について照会があった。
B成果情報 ・成果情報:養殖特別部会の扱う課題は提出されなかった。
(4)日本海ブロック推進会議 開催日時及び場所:平成17年12月13日〜14日,新潟市
出席者所属機関及び人数:28機関38名
養殖研からの派遣者:企画連絡室長 杜多 哲
@養殖研及び養殖特別部会の報告 ・養殖研究所の17年度の活動概要及び養殖特別部会について報告
A研究ニーズ ・種苗期の疾病に関する診断マニュアルの要望があり,栽培漁業部が回答した。
B成果情報 ・本ブロックを経由して養殖特別部会の扱う課題「ズワイガニ幼生の必須脂肪酸要求」が提出された。
(5)内水面推進会議 開催日時及び場所:平成17年12月15日〜16日,宇都宮市
出席者所属機関及び人数:32機関47名
養殖研からの派遣者:病害防除部長 飯田貴次
@養殖研及び養殖特別部会の報告 ・15分間の報告時間が与えられ,まず,養殖研究所の研究状況を中心に説明を行った。さらに内水面からの要望が高い魚病関連としてKHV病高度化事業の進捗状況と昨年度および今年度の成果について紹介し,アユ冷水病ワクチン高度化事業では今年度の計画について説明した。これらに関連した質問としては,特定疾病の診断技術の改良について2題あった。
A研究ニーズ ・本推進会議からは,事前に魚病関連(アユ冷水病関連6題,アユのボケ病1題,KHV病関連2題,SVC関連2題,医薬品関連3題)の研究ニーズに関しての照会があり,対処方針を提案し,会議で了承された。
B成果情報 ・本推進会議からは,養殖特別部会の扱う課題は提出されなかった。事前の内容校閲の依頼は病理関係で2題あった。

(6)西海ブロック推進会議

開催日時及び場所:平成17年12月19日〜20日 ,長崎市
出席者所属機関及び人数:21機関35名
養殖研からの派遣者:生産技術部長 横山雅仁
@養殖研及び養殖特別部会の報告 ・5分間の報告時間が与えられ,養殖研究所の研究状況ならびに養殖特別部会の部会運営について説明を行った。
A研究ニーズ ・本ブロックからは,養殖特別部会へ17年度の研究ニーズは なかった。九州・山口ブロックからの全国水産試験場長会要望事項として課題名「水産用医薬品について」が提出され,養殖研究所としての対応について説明した。
B成果情報 ・本ブロックを経由して3課題が養殖特別部会で扱うべき課題として提出された。これらを含め15課題が養殖特別部会の研究成果情報として承認されたことを報告した。
(7)瀬戸内ブロック推進会議 開催日時及び場所:平成17年12月21日〜22日,広島市
出席者所属機関及び人数:30機関38名
養殖研からの派遣者:病害防除部長 飯田貴次
@養殖研及び養殖特別部会の報告 ・5分間の報告時間が与えられ,養殖研究所の研究状況を中心に説明を行った。質問はなかった。
A研究ニーズ ・本ブロックからは,養殖特別部会への研究ニーズはなかった。
B成果情報 ・本ブロックからは,養殖特別部会の扱う課題は提出されなかった。事前の内容校閲の依頼は病理関係で2題あった。
3.栽培漁業ブロック会議報告  水産庁,全国豊かな海づくり協会,水研センターが運営する,全国5ブロックの栽培漁業ブロック会議に管理職等が出席し,養殖研と栽培漁業関係者との連携に努めた。いずれの会議においても栽培漁業関係公益法人の運営状況が厳しいことが報告された。今後種苗生産のコスト削減などにつながる技術開発が必要であり,栽培漁業関係者との連携が重要であることが感じられた。

(平成17年度栽培漁業ブロック会議出席者)
太平洋北:企連科長 小西浩一
日本海:生産システム部長:生田和正
瀬戸内海:企連室長:杜多 哲
九州西:病害防除部長:飯田貴次