イベント情報/シンポジウム
平成26年度育種情報交換会を開催しました
平成26年12月3日に伊勢シティーホテルにおいて、養殖産業部会傘下の育種情報交換会を開催し、関係府県や(社)日本養魚飼料協、水研センター(本部、中央水研、水工研、増養殖研)などから36名の参加がありました。
各府県での育種関連研究の取り組みの紹介では、ニジマス、サクラマス、マダイ、カンパチ、トリガイ、アコヤガイ、ノリなどについて高成長や高生残、耐病性といった優良形質に関する選抜育種が取り組まれていることが報告され、質疑がなされました。増養殖研からは、一昨年度に水研センターが公表した水産育種研究戦略を推進すべく、今年度増養殖研究所内の組織改編により「育種研究センター」を新設したこと、および同センター内の各グループで取り組んでいる研究の概要を紹介しました。
続いて(有)まる阿水産の澤山英太郎課長から「種苗生産会社における育種研究と家系の保存について」と題して、遺伝学的知見に基づき同社で実施されている海産魚の系統選抜、家系選抜および遺伝子選抜の例を話題提供戴くとともに、今後公的研究所に求められる事項を提案いただき、議論がなされました。
最後に、事務局から事前に全国の都道府県に回答をお願いした育種家系の保存に関するアンケートの集約結果に基づいて、「作出家系等の保存体制の現状と今後の方向性」について意見交換を行いました。これまで及び現在、全国で24以上の機関で水産生物の育種が取り組まれており、魚類や介類ではこれまで作出された家系等の約7割が保存されている一方、保存する価値があった10家系以上が何らかの事情により保存できなかったことなどが確認されました。また、作出家系等の保存体制については、多くの機関で今後もこれまでと同様に自機関内での保存を基本と考えていることが確認され、意見交換がなされました。さらに、研究成果の早期現場普及の必要性など、育種研究成果の活用にかかる今後の方向性などへも議論が及びつつ、今年度の研究会を終えました。